ダウンタウン Before/After
以前、芸能プロダクションに勤めていた方から「(他の芸人さんはともかく)ダウンタウンの松本さんはホントに天才ですよ」と聞いたことがあります。世間ではそうなのかも知れませんが、実は私は松本さんをテレビで見て面白いと思ったことは一度もありませんでした。世代ギャップと言えばそれまでですが、それで片付けてはいけない何かを感じていました。
ここにある坂本龍一氏のコメントは随分古いもので、私も知らなかったのですが、知人から教えてもらいました。長年の疑問がふっと溶けていく気がしました。因果関係はともかく、2000年初めの「秩序の崩壊」とも見える社会の殺伐とした空気に併せてダウンタウンの笑いが登場した。一言で言えば「弱い者イジメ」です。あざ笑いの対象が権威ではなく弱い者になってしまった。それ以前でも相方の「嫁はん」の悪口を言うような漫才もよくありましたが、その場合の「嫁はん」は明らかに権威をイメージできる存在で、家に帰ったら「嫁はん」に謝っている姿が想像されました。多分、そのあたりにも「笑いの源泉」があったようにも思います。
そういえばテレビで「ブス」「デブ」と堂々と言い始めたのもこの頃かなと思いますし、「セレブ」などと言って、金持ちやハイプロファイル芸能人を持て囃し始めたのもこの頃だと記憶しています。
21世紀になって確かに世の中が変わった。過去の権威や物差しを否定し、カネが新たな物差しとなり、社会を分断する弱者いじめをテレビが堂々と始めたのが大きな原因だと感じます。そして、いまだに、フェイクをまき散らすテレビは罪が深い。若者のテレビ離れは幸いかもしれません。
◇松本人志に坂本龍一さんが生前投げかけていた疑問(女子SPA!)
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