西側世界で正義(のジャーナリズム)が死のうとしている(Paul Craig Roberts)
イギリスの裁判所は、ジュリアン・アサンジの引き渡し事件で、彼に保護を与えるふりをしてきた一方で、彼を監禁しておくことで、ワシントンの警察国家に長年協力してきた。もちろん、彼を復讐に燃えるワシントンに引き渡すべきではないことは法律上明らかだが、イギリスはワシントンから独立しているわけではなく、アサンジを監禁し続ける動きをしているだけだ。
ワシントンとロンドンが共謀して、自国の政府が正義を実現できるといまだに望んでいるアメリカ人とイギリス人の精神を打ち砕こうとしているのは明らかだ。 士気を失った国民は、専制政治に強制されやすく、それが西側世界全体が向かうところだ。
すでに多くのものが失われている。 アメリカとイギリスのマスコミは、アサンジの権力を守り、政府に責任を負わせ、自らを守るためだけに、アサンジを激しく擁護するだろうと考えた人もいるだろう。 結局のところ、ニューヨーク・タイムズやガーディアンや他の報道機関は、ウィキリークスが公開した文書を公表し、そのためにアサンジは監禁されている。 ところが、最近まで、ニューヨーク・タイムズやガーディアンや、他の幾つかの報道機関が、アサンジに対する身柄引き渡し訴訟を取り下げるよう、弱々しい要求をした際まで、アメリカとイギリス・マスコミは、アサンジは、強姦犯で、ロシアのスパイで、ワシントンの隠れた戦争犯罪や、同盟国の欺瞞など、アメリカ国家安全保障上の秘密のハッカーだという公式言説を忠実に伝えていた。
ワシントンは、復讐以上の目的でアサンジを追っている。 彼らはジャーナリストたちに、政府が犯罪を犯した時、政府に責任を負わせることはもはや許されないという教訓を教えているのだ。 言い換えれば、政府の犯罪化が制度化されているのだ。 それがアサンジ事件の本質だ。 正義と真実は、欧米世界から排除されつつある。